デザインの話「SSK ハンドアウト」

こんにちは。オオツキチヒロです。

今回はTwitterに先日あげました、こちらのデザインの話をまとめてみようと思います。

このデザインのコンセプトやアイデア、最終的に何を表したのか。
そういったことを言語化したいと思います。

デザインの話に至るまで少し前置きが長くなってしまいますが、
どうかお許しください。。

目次

前書き

大阪は北加賀屋にありますアーティスト・クリエイターのための大型シェアスタジオ、
「Super Studio Kitakagaya(以下SSK)」で3/5〜21に行われました「オープンスタジオ」にお越しいただけた方に無料でお渡しする、いわば「お土産」のようなものになります。
アルコール消毒、検温はもちろんのうえ実施。

A5サイズの薄いクリアケースの中には、透けた4枚の紙にそれぞれ違うヴィジュアルが印刷されているモノ、片鏡面仕上げのA4二つ折りの作家紹介兼企画内容が記載されたモノとが入っています。
オープンスタジオとは、アーティストの制作現場・アトリエの「見学会」のようなモノです。

オープンスタジオ

今回はそのオープンスタジオに付随プログラムとして「企画展」を行いました。
SSKに入居しているアーティストがそれぞれテーマに沿った作品を「週替わり」に展示をしています。
企画展のタイトルは

『結から始まる起承転』

オープンスタジオ並びにこの企画展のキュレーションは、入居しているアーティストの笹原さんが取りまとめてくださりました。

オープンスタジオはトータル3週間にわたり、それぞれ各週末に行われた展示は、1週間ごとに作品が入れ替わるシステムで、3つの展覧会が行われました。

  • 【起の巻】淵源のテクノロジー (5-7日)
  • 【承の巻】想察のメソドロジー (12-14日)
  • 【転の巻】知覚のナラトロジー (19-21日)

各展示のコンセプトは以下の通りです。

淵源のテクノロジー

テクノロジーから生まれる作品や、その技術を扱うことへ言及する作品をここではメディアアートと定義する。メディアそのものに軸足を置く、もしくは、メディアに言及していく作品をめぐる1週間。 

想察のメソドロジー

表現形式の決定が先立つ作品や、アウトプットの固定から起こる技法の探究をファインアートと定義する。モチーフの選択に重きをおくことと、それを実現していくための技法の探究。もっとも純粋とも思えるアートを見る1週間。 

知覚のナラトロジー

 メディアよりもモチーフよりも、その作品にいたった物語に重きがおかれる作品をコンセプチュアルアートと定義する。伝える方法と、伝える内容、この2つの接続や乖離、そのバランス(アンバランス)をもって表現行為を探求する1週間。 

その他詳細はこちらのアーカイブページにございます、よろしければご覧ください↓
アーカイブ | Super Studio Kitakagaya | 大阪 北加賀屋のアーティストスペース ssk-chishima.info


前置きが長くなりましたがここからデザインの話しに移ります。

コンセプト

デザインを進める上でコンセプトを、
大きく「2つ」に分けて定義し、考えました。

結から始まる起承転

まずひとつは、上の大タイトルをズバリそのままコンセプトに用いること。
もうひとつは、期間中に行われる3つの展示テーマがそれぞれ持つ「意味性」をタイトルロゴに抽出すること。
です。

まずは3つの展覧会それぞれのヴィジュアルについてご説明いたします。

淵源のテクノロジー

テクノロジーとは科学技術。
展示コンセプトから考察し、ここでは「印刷」を技術と捉え、ただインクを乗せ情報を表現するのではなく、印刷しているものが「ある状況下」において「見えなくなる」という実験的な仕掛けを施したヴィジュアルをこの展示テーマへの答えとしました。本来情報を具現化し伝えるために行う「印刷」という技術の在り方を問うたデザインです。

画像3

想察のメソドロジー

メソドロジーとは方法論。
グラフィックデザインには様々なデザイン手法があります。その代表格として取り上げられる「グリッド」をエレメントに用いました。
レイアウトのガイドとしてよく用いられるグリッドを作字ガイドとして扱い、タイトルロゴを作成しました。
ときにメソッドに基づきデザインされたものは動的要素が無くなることで、視覚的な面白味が欠如します。それに対してのアイロニーとして「Methodology」という言葉をグリッドという枠組みから飛び出させることでテーゼ・アンチテーゼを表現、アウフヘーベンしました。

画像3

知覚のナラトロジー

ナラトロジーとは物語論。
ストーリー(物語)とは違う意味合いを持つナラトロジーは、物語や語りの技術と構造について研究する学問分野として定義づけられています。
ここでは、アルファベットは「一文字では意味を成さない」ことに着目し、「文字が並んでいくことで物語が生まれていく文章の根本的な構造」を強調可視し、ナラトロジーを表現しました。

画像3

集積するヴィジュアル

今回のオープンスタジオではこれらのテーマが独立しつつも内包されているということがミソであり、この「結から始まる起承転」という大タイトルに繋がっていく。

これら3つの展示についてのビジュアルに、オープンスタジオのビジュアルを重ね合わせパッケージングされることでまた新たなヴィジュアルへと変化します。

画像5
画像5

ここで大タイトル「結から始まる起承転」のコンセプトの回収が行われます。集積することで姿を現すこのメインビジュアルはそれぞれ独立していた3つのコンセプトを違う次元へ昇華します。

テクノロジーとして、
「印刷」という技術を用いていたものが、
「透ける紙」というテクノロジーへ意味転換します。

メソドロジーとして、
「グリッド」を用いていたものが、全てのレイヤーにも現れ、「淵源のテクノロジー」「智覚のナラトロジー」といったタイトルがグリッドに内包・統合されていきます。

画像9
画像10


ナラトロジーとして、
全ての事象がレイヤーとして重なり合いこの構造によって、それぞれの文脈がもたらす物語論が明らかになり、その様を可視化します。

こうして、
・独立したコンテクスト
・集積したコンテクスト
がヴィジュアルとして現れる仕組みになっています。

コロナ禍においての物質

今回のオープンスタジオとしてもう一つわたしが実践したことがあります。今日も悩まされ続けるこのコロナ禍において「モノ」はウイルスの媒介になります。このことを「アート」と定義して良いモノなのかわかりませんが、自分なりに表現しました。それがこのもう一枚クリアケースに差し込んでいた「片鏡面仕上げのA4二つ折りの作家紹介兼企画内容が記載されたモノ」です。

画像8
画像9

オープンスタジオに来場いただいた方は、この案内をクリアケースから取り出し手に持って各スタジオを訪問、歩いていく。

一通り歩き回り帰る頃にようやく私が実践したアートが出来上がります。

画像10

鏡面加工にベッタリとつく指紋に、「汚い」と思う方がほとんどではないでしょうか。
コロナ禍においてこの「指紋」というものは人が触れたサインとしてモノに印されます。知らず知らずに色々なモノに触れ感染リスクが増していく。自分は感染していないと思い込んでいたとしても真相は誰にもわかりません。そういったことに今一度気づいて欲しいと願ったわたしなりのアートを、問題定義をいたしました。

もちろんこれらはゴム手袋をしたうえでひとつひとつパッケージングいたしております。

おわりに

長い文章をここまでお読みいただき誠にありがとうございました。

まだまだこの世界的恐慌は途絶える気配がありません。
手洗いうがい、そして少し怠惰が現れてきている「消毒」もしっかりとなされてください。

大切な人を大切に。

オオツキチヒロ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

面白かったらシェアしてくれると嬉しいです!
URLをコピーする
URLをコピーしました!
目次
閉じる